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いまここに在ることの恥

2008.09.18(13:38)
いまここに在ることの恥いまここに在ることの恥
(2006/07/29)
辺見 庸

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タイトルの「いまここに在る恥」とは どのようなものでしょうか。

本書はエッセイ風の書き下ろし作品「灼熱の広場にて」を冒頭に、2006年度の新聞掲載文と講演内容の三部で構成されています。
「灼熱の広場にて」では、難民キャンプで目撃した光景の記憶から、自身の立ち位置と行動に対する「恥」を晒しています。
それは、地獄絵図のような難民キャンプで、取材し報道するジャーナリストとしての使命は果たしても、同じ人間として苦しむ人に自らの手をさしのべようとしない恥ずかしさだったと著者は言います。

ひとことで言えば、無責任な傍観者であることの恥ずかしさ。 痛める心も自己満足にすぎないと自覚する恥でしょうか。

これは、テレビの特番やニュースで世界の子供達の可哀想な現状に心を痛めたり、ときには涙を流したりしても、その時間が終わればテレビを消して日常に戻ってゆく自分を考えると 非常に良く分かります。

著者が自らをえぐって晒した恥ずかしさは、私達も内面に持つ恥ずかしさだと気づかざるを得ません。

二部、三部では、まず、時代の空気を読んだり追従することにばかり熱心で、報道の精神を忘れたかのような今の日本のマスコミの恥ずかしさが痛烈に批判されています。
圧倒的な支持率を誇った小泉政権下では、イラク派兵問題や付随して巻き起こった憲法改正問題という国家の一大事にさえ、首相のコメントに面と向かって異論や質問を差し挟む政治記者がいなかったといいます。

このように時代の空気におもねるマスコミの姿勢への筆者の批判は激烈です。
が、その批判は、マスコミが報道した情報のみを受け取り、ときには疑いもせず事実だと信じ込んでしまう浅薄な私達の「恥ずかしさ」にも向けられています。

そしてさらに筆者の視線は、時代の空気に迎合した報道をするジャーナリズムと与えられた情報をまるごと受け取る国民で構成された国として日本全体を捉えています。

確固とした思想を持たず実体のない空気に流される日本の現状は、ファシズムによる支配を受けているのとなんら変わらないと指摘しています。


傍観者であること。
多勢の意見に流されたり、まわりと同じである安心感に浸って まともに自分の頭で物事を考えられないこと。


筆者が自らを傷つけ晒した「恥ずかしさ」は、私達の身の内にもあり、著者が怒りを持って指摘した日本の現状は、私達ひとりひとりが作り出し私達ひとりひとりを覆っています。

「恥」は、その中に埋没してしまえば感じなくなってしまうが、人が人である以上、刹那に頭をかすめ表面に浮かび上がってくる 「恥」 の感覚があるのではないだろうか・・ と、著者は私達に問いかけています。

「いまここに在ることの恥」。たしかにわたし自身の内面にも潜んでいる恥ずかしさだと思い当たるだけに、非常に耳の痛い一冊でありました。
しかし、耳の痛い言葉だけに目をそむけてはいけないと思うし、多くの人に読んで考えてほしい とも思います。


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コメント
なんと耳の痛くなりそうな内容ですね。
読んだことはないですが、たぶん、すごく納得しながら読めそうです。
最近「恥」を知りながらも「開き直る」自分に嫌気が差してきています。自分自身をどう受け止めればいいのか、解決の道を教えてくれている本でしょうか?
【2008/09/20 18:02】 | sara #- | [edit]
辺見さんは、恥の感覚が麻痺して恥を恥と感じなくなるのが問題と考えていらっしゃるようです。
で、自分の恥を自覚して考えている辺見さん自身は、そのことで相当苦しい思いとか怒りとかを感じているんですよね。
そこで辺見さんは、書いたり講演会で話したりされているのだと思いますが、そのことが「解決方法」と呼べるのかどうか・・・。また、私達には真似の出来ない方法でもありますし、、、難しいです。
【2008/09/21 10:00】 | さーにん #- | [edit]
そうですね。
当たり前のように、起きているニュースを、心を痛めたり腹立たしく思っても
ただただ聞き流してしまっている自分もいる。
そして、現状に開き直っている確信もある。

今を大切に、たくさんの情報を自分で見つめなおす、
ゆとりや知識も身につけたいものです。

【2008/09/25 07:00】 | ryoko #- | [edit]
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【2008/09/18 19:41】
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