スポンサーサイト

--.--.--(--:--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-) | [EDIT]

闇の守り人

2008.10.12(15:48)
闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)闇の守り人 (軽装版偕成社ポッシュ)
(2006/11)
上橋 菜穂子 二木 真希子

商品詳細を見る


守り人シリーズの第二作目です。

今回は主人公バルサが25年ぶりに故郷カンバル王国を訪れる決心をするところから物語が始まります。
チャグムをはじめとする一作目の主要人物は、会話の中や回想シーンでしか登場しません。

しかし、これまでは故郷に帰るどころか思い出すことさえ封印していた節のあるバルサが  じつに25年ぶりに戻る気持ちになったのは、チャグムとの出会いがきっかけです。

一作目におけるバルサの心の動きが、二作目へと実にスムーズにつながっていて、まったく新しい背景ではじまる物語なのに、 違和感なく入ってゆけます。

それどころか、前作のエピソードが登場人物の行動や心情への説得力を増しており、今回新たに起きる出来事への必然性さえ感じさせる見事なつくりになっています。

もちろん この一冊は独立したお話としてきちんと成り立っていますので、一作目の「精霊の守り人」を読まずにこちらを手にとってもまったく差し支えありません。
(とはいえ、読み終わったら一作目を読みたくなること請け合い ですが)

今回の舞台となるバルサの故郷カンバル王国は、険しい山に囲まれた地の利に薄い国です。
そこに暮らす支配者層や庶民の人々の暮らしぶりから、貧しい国の様子がよく伝わってきます。
また、ドワーフを思わせる背の低い「牧童」という種族はファンタジーならではの登場人物で、今回の物語で大きな役割を果たすのですが、限定された場所に住み、ヤギ飼いという職業をなりわいとする以外生活の術のない彼らは、被差別人種としての問題を投げかけているようにも思えます。

このような背景がよく描きこまれたファンタジーなので、どこか私達の現実世界とうまく混ざり合って説得力を持つのでしょう。
「精霊の守り人」の感想でも触れたことですが、子供にも読みやすい平易な言葉使いと文章で、これだけのファンタジーの世界を構築し、魅力的な登場人物の活躍ぶりをその内面にまで踏み込んで描く作者の力量には本当に脱帽します。

さて、新しい登場人物たちが興味深く、明かされる過去からの陰謀にハラハラし、相変わらず格好の良いバルサに惚れ惚れしつつ またもやページをめくる手を止められなくなってしまった「闇の守り人」ですが、今回一番印象に残ったのは、バルサが自らの過去と運命を正面から見つめ昇華してゆく部分でした。

彼女の過酷な半生がはじまったのは、父親の親友ジグロに助けられ身ひとつで故郷カンバル王国から逃亡した6才のときです。
以来生き延びることだけを目的に、追っ手から逃れるため各地を転々としながら身を守るため武術の修行に明け暮れ地を這うように生きてきたバルサは、成長しても安住の地を待たない用心棒という職業で身を立てることになってしまいました。

そんなバルサの胸中には、不幸な自分の運命に対する悔しさと、その自分の運命に巻き込み一生を使わせてしまったジグロへの負い目が常に重くわだかまっています。

その気持ちに整理をつけるため、25年ぶりに故郷カンバル王国を訪れたバルサですが、彼女の運命を捻じ曲げた元凶の前王ログサムは既に死に、 地位も誉れも捨てて運命をともにしてくれた養父ジグロもすでにこの世の人ではありません。

運命を捻じ曲げた相手に恨みを晴らすことも出来ず、一生かかっても返しきれないほどの恩を返すことも叶わないバルサは、25年ぶりの故郷で どのように自分の気持ちに決着を付けてゆくのでしょうか。

作者のあとがきによると、一作目「精霊の守り人」が子供達に人気なのに対して、大人世代ではこちらの「闇の守り人」の支持がぐんと高いそうです。
誰しもある程度の年齢になったとき、過去の育ちや運命を自らをふりかえる「心の旅」ともいえる作業につきあたった覚えがあるから、苦しさとまともに向き合うバルサの「心の旅」の姿勢が大きな共感を呼ぶのかもしれません。


関連記事  精霊の守り人


にほんブログ村 本ブログへ  
記事が気に入ったらポチっとお願いしま~す!

<<日本語でどづぞ―世界で見つけた爆笑「ニホン」誤集 | ホームへ | 9月の読書>>
コメント
心の旅…興味深いです。
正直いっぱいいっぱいの今を過ごしている私にとって、
とても読んでみたい作品のようです。
【2008/10/13 04:21】 | ryoko #- | [edit]
こんにちは.TBありがとうございます.こちらからもTBさせていただきます.

>作者のあとがきによると、一作目「精霊の守り人」が子供達に人気なのに対して、大人世代ではこちらの「闇の守り人」の支持がぐんと高いそうです。
誰しもある程度の年齢になったとき、過去の育ちや運命を自らをふりかえる「心の旅」ともいえる作業につきあたった覚えがあるから、苦しさとまともに向き合うバルサの「心の旅」の姿勢が大きな共感を呼ぶのかもしれません。

なるほど.確かにそうですね.「心の旅」,いい表現ですね.



【2008/10/13 10:54】 | kova #- | [edit]
拝見させていただきました!
応援ポチッ!!!
【2008/10/13 13:25】 | サトシ #- | [edit]
ryokoさん

お子さんが、幼稚園に行く頃には時間もいっぱいできますからね~
まだまだ先と思っても、あっという間だから、今は赤ちゃんのふわふわを思う存分楽しんでください♪

kovaさん

TBありがとうございました。
「守り人」シリーズ、私は次の「夢の守り人」まで読みましたが、良いですねえ(*^^*) 続きを読むのも楽しみです。
【2008/10/13 14:37】 | さーにん #- | [edit]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://saanin.blog118.fc2.com/tb.php/154-c9760f30
【2008/10/13 09:45】
  • 書評:闇の守り人 / 上橋菜穂子【無辺光 -ムヘンコウ-】
    闇の守り人 (新潮文庫 う 18-3)  上橋菜穂子氏による精霊の守り人シリーズ第二作です.  陰謀により祖国を追われ,諸国を流浪する用心棒となったバルサ. いつしか時は流れ,バルサを追いやった首謀者もこの世を去っていました.長らく故郷に帰っていなかったバ
【2008/10/13 10:56】
| ホームへ |
カレンダー

カテゴリー

月別アーカイブ
ブログ内検索

RSSフィード
ブロとも申請フォーム
読書カレンダーBLACK
本好きが集まるSNS

FC2カウンター

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。