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ヒルベルという子がいた/ペーター ヘルトリング

2009.05.31(17:44)
ヒルベルという子がいた (偕成社文庫)ヒルベルという子がいた (偕成社文庫)
(2005/06)
ペーター ヘルトリング

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出産時のトラブルから常に頭痛に悩まされている少年ヒルベル。
他人とのコミュニケーションを取ることが極端に苦手なうえ、頭痛が耐えがたくなると自分でもわけがわからなくなってしまい、問題行動を起こしてしまう。
そんなヒルベルは母親に見放され、子供の施設に預けられています。
お話は、ヒルベルの施設での暮らしぶりを、施設の他の子供達や保母さん、医師との係わり合いを中心に淡々と綴られています。

小学校高学年から読める児童書ですが、テーマは重く、読後も考えずにはいられません。

病気を持って生まれてきた子供は可哀想ですが、保護者に見捨てられてしまった子供はもっと可哀想です。
しかし二重の意味で可哀想な子供ヒルベルのまわりには、施設の保母さんたちや、毎日やってきて施設の子供達を診察する医師など良識と優しい気持ちを兼ね備えた大人たちがいます。

保母さんたちは ありのままのヒルベルを受け入れ、言葉を話すのが苦手なヒルベルの気持ちを理解しようと心を砕いています。
みずからも孤児を3人養子として育てている医師は、ヒルベルにも暖かい気持ちで診察をしています。

彼らは福祉職員として最善を尽くしており、また、人格的にも立派な人々です。

しかし、保母さんたちには、ヒルベルのある行動を理解することはできても、彼の心と触れ合い理解し交流を持つまでに到ることはできません。
また、医師も4人目の孤児を引き取ることは無理で、ヒルベルを養子に迎え入れることはできません。

結局持病の頭痛が重くなってきたと診断されたヒルベルは、別の施設へと移されてゆくのです。

お話は、ヒルベルをとても好きだった保母さんのひとりが何年たってもヒルベルのことをよく思い出し、あの子はその後どうなっただろうかと考えた と結ばれています。

病気の子供、親の世話を受けられない子供を可哀想だ、気の毒だ、なんとかならないかと思う気持ちが本心でも、そのような子供達が本当に幸福になるためには福祉だけでは不十分。むしろその子のために保護者として関わる事のできる大人の存在の方が大事な場合が多いように思います。
だけど、私達は保護者にはなれない。
お話の最後で保母さんがヒルベルはどうなっただろうと思うことと、私達が世界中のヒルベルのような子供達を思うことは とても似ている気がします。


ところでこの本は河合隼雄さんの児童書の書評集「「うさぎ穴」からの発信―子どもとファンタジー」で知り、読んだのですが、なんと本書巻末にも河合隼雄さんの解説が載っていました。
28ページにも及ぶ詳細な解説で、ひとつの作品の解説としては「うさぎ穴からの発信」よりこちらの方が当然詳しいです。
心理学的な立場からの解説は自分の読み方、感じ方とは違う新しい面の発見になり、たいへん参考になりました。
この本を手に取られる方は読後ぜひ解説のほうもお楽しみください。


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