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私たちの友だち/バイコフ

2009.07.11(08:38)
バイコフは1872年にロシアで生まれました。
キエフ市で暮らした幼い頃から周りのあらゆる生き物に親しみ、成人してからは人生の大半を自然豊かな密林を抱える満州で過ごしました。
その著書は「偉大なる王(ワン)」のほか「バイコフの森―北満洲の密林物語」「樹海に生きる」「牝虎」など多数ですが、現在は絶版となり手に入りにくいものも多いです。
この 「私たちの友だち」 も、著者が接したいろいろな動物とのエピソードを特に子供向けに書いた素晴らしい一冊なのですが、現在は絶版となっています。

バイコフ1

図書館から借りてきた手元の本を見ると、
1951年5月25日 第1刷発行
1992年1月23日 第11刷発行
となっています。
その後12刷目が刷られたのか、それともこれが最後の版だったのかはわかりませんが、ネットでもなかなか見つからずいまだに入手できないため、ときどき無性に読みたくなるたびに、私は地元の図書館で借りてきては読み返すのです。

この本の出版当時、バイコフは親交のあった日本人宗像英雄氏にこう語ったそうです。
「どんな恐ろしい猛獣でも、人々が忌み嫌うあのヘビさえも、人間が彼らの習性をよく理解して、本当の愛情をもって接すれば、きっとよいともだちになるのです。また、子どもたちの持っている、小さな生き物への愛情を、ただしくゆがめないで育てたならば、命あるどんなものに対しても、深い友情を持つことのできる、平和を好む人間になるでしょう。そうしたことに、少しでも役にたてばと思って、私はこの本を書きました。」

バイコフは無類の生き物好きであったと同時に、軍人時代にはペテルブルク学士院から命を受けて満州の動植物の調査にも携わっており、その観察眼は信頼の置けるものだと思います。
しかし、ここに書かれたお話は、ロシアや満州にほんの100年前に存在していたとは思えないほど豊かに広がる自然といい、バイコフと親しみ懐くいろんな種類の生き物のエピソードといい、まったく驚きの連続です。
現代の日本に暮らす私にとって、また多少の生き物好きの私にとって、バイコフがここで語る自然の豊かさや生き物との付き合いは想像をはるかに超え、まるでファンタジーの世界のお話のようにさえ感じるのです。
これらがすべて「本当のお話」だとは、なんと心楽しいことでしょう。

ところで、生き物を愛し観察する人々は、おのずとそのスケッチに磨きがかかるものなのでしょうか。
幾多の例に漏れず、バイコフも自ら本の挿絵をしたためています。

baikofu2
シナ人労働者とノロのミーシカ

baikofu3
水たまりのカエルを追いかけまわすツル

追記にはメモ代わりに原著者のまえがきと目次を載せておきます。

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私たちの友だち   バイコフ 上脇進訳

岩波少年文庫

原著者まえがき

 動物の生活、その性質、修整、またそのほかの特殊性は、疑いもなく、自然科学のうちの最も興味ある部分である。
 有史以前の人間に、自意識というものがあらわれ、生存競争に勝利を得はじめた未開時代に、もう人間はいろいろな動物を飼いならすことに成功し、そういう動物たちから食物や衣服を得ただけではなく、古代の恐ろしい猛獣、猛禽との死闘には、人間の助力者として、彼らを役だたせたのである。その時代から、何千年かの時が過ぎて、人間はいま、高い文化と文明に達したが、その古い友であり、助力者であった動物は、むかしのまま残って、いたるところい、人間の人生行路の道づれとなって、今日におよんでいる。
 人類にとって、動物の世界は、大きな意義を持つもので、人間に食物や衣服を与え、また技術的生産の貴重な材料を提供している。
 直接、人間に与える利益以外にも、それぞれの動物は、自然界の一般経済に大きな意義を持っている。たとえば、肉食獣は、すぐ繁殖する齧歯動物を駆除して、利益をもたらす。このように、自然界に生きているものは、すべて、理にかない、目的を持っており、たがいに補いあい、たよりあって、つりあいをたもっている。「自然」の中に、余分なものなく、無用なものなく、無益なものなく、いわんや、みにくいもの、きらうべきものは、なに一つ、ないのである。ただ人間だけが、創造主の意志によって定められた、永遠の掟をないがしろにして、自然界の調和とつりあいを、しばしば破るのである。
 もしも、ヘビは、みにくいとか、カエルは、いやらしいとか、ガマは、胸が悪くなるとか、こうもりは、きみが悪いとか言う人があってもーーこれを信じてはならない。これはすべて、最も単純な常識も持っていない人々の、無智無学にもとづくうそと中傷だからである。「自然」のなかでは、すべてが美しく、すべてがよく、理にかなっている。というのは、神は、いかなるみにくさも、いかなる愚劣さをも創造することはできなかったからである。もし世界に、うそ、不真実、けがれが存在するとすれば、これはまさしく、人間の作り出したものであり、人間の中から出てきたものである。
 世の中には、ネズミ、カエル、毒のないヘビなどをきらうばかりでなく、恐れる人間があるが、これは、まったくいみのないことである。恐れ、避けなければならないのは、悪い人間であって、こういう人間のほうが、最も凶悪な猛獣や毒じゃよりも、はるかに危険である。
 「自然」に親しむ人間は、「自然」を理解し、「自然」を愛する。しかし、この愛は、自然の美しさや偉大さを見つめることだけにかぎってはならないのであって、「自然」の法則の研究、生き物の世界の現象と生活、すなわち、動植物に対する注意ぶかい観察がともなわなければならない。この研究は、きわめて興味ふかく、おもしろく、人間の生活をゆたかにし、道徳的な満足と精神的平衡を与えてくれる。人間はーー「自然」の子であって、りくつなしに、ほとんど無意識に、ちょうど子どもが、母親にひかれるように、「自然」にひきつけられる。そして、「自然」は、やさしい母親のように、人間に対し、その精神を富まし、身体をすこやかにし、智恵の世界をひろげる手つだいをしてくれるのである。
 「自然」からひきはなされた人間は、慈愛ぶかい母なる自然が、ゆたかに与えてくれる、健康にして聡明な満足をうばわれ、清明の喜びを失い、精神的にも肉体的にも、あわれな不完全な者となるのである。
 生活のわずらわしさによってそこなわれず、最も「自然」に近い子どもたちは、最も強く自然にひかれて、直接、自分をとりまく動植物の世界、または、遠い国の旅行物語に夢中になって、この気もちをあらわす。
 私は、若い人たちのために、この本の中で、私が子どものときから、いっしょに暮らして、ならしてきた動物のことを書いた。ここでは、動物の生物学的な特質、その習性、人間との関係に、おもに注意をはらった。自然の環境にある動物を観察し、飼いならされた生活を比較するならば、彼らを支配しているものは、本能だけでなく、理智に富む人間と同じような、疑うべくもない理性が、彼らにもあらわれるという点を、おのずから認めるようになるだろう。神の世界の生き物として、すべての動物は、きわめて私たちに近いものであり、私たちのよい友である。

                                    バイコフ

  もくじ

1 コウノトリの巣
2 地中のチビー小ネズミ
3 ヒキガエル
4 ボビクとバボーチカ
5 こそどろのココ
6 牝ザルのサラ
7 シベリア犬
8 勇士ミーシカ
9 イノシシの子、ムルジルカ
10 タヌキのトリーシカ
11 オオカミ
12 長耳小僧コウモリ
13 わんぱく者ワーシカ
14 大食いのホトトギスのひな
15 陽気な連中
16 森のエルフ(小妖精)
17 足の悪いバレーの先生
18 牝グマのマーシカ
19 ウサギとハリネズミ
20 ドングリ目のかわり者
21 かわいらしいモルモット
22 オオヤマネコ
23 ヘ ビ
24 怠け者のフェージカ
25 砂ばくの子
26 ずるい子ギツネ
27 英雄ミッキー
28 トラの子
29 ミツバチ
あとがき

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コメント
この文章読んでこの本に惹かれたわ
これよさそう。息子に読ませたいわ。
何時もありがとう。
【2009/07/12 15:23】 | たーぼのはは #- | [edit]
たーぼのははさん

ははちゃん♪
こちらこそ、いつもありがとう(^∇^)ノ
絶版は手に入りにくいかもですが、岩波少年文庫、やはり今でも良い物が揃っています。
【2009/07/12 16:10】 | さーにん #- | [edit]
こんばんわ。
バイコフ名前をどっかで聞いたなーという程度でした。
本当に自然が生き物が好きな人だったのですね。
まえがきも深い哲学が述べられ興味深いです。
「子どもたちの持っている、小さな生き物への愛情を、ただしくゆがめないで育てたならば、命あるどんなものに対しても、深い友情を持つことのできる、平和を好む人間になるでしょう」
ほんとにそうでしょうね。いじめや通り魔殺人とか、自然からどんどん遠ざかり自らの存立基盤を忘れている人間の醜さなのでしょうね。
昆虫記は日本でとても有名ですが、それと同じように興味深い著作なのでしょうね。
【2009/07/12 18:37】 | KOZOU #- | [edit]
kozouさん

こんにちは。いつもありがとうございます。
昆虫記といえばファーブルでしょうか。
バイコフについては資料も少なく、私も詳しいことは良く分からないのですが、生粋の学者というわけではなかったようです。
でも、おっしゃるように、生き物への姿勢は素晴らしいです。
特に満州の密林に暮らし、観察した動物たちの中で、虎に関する著書が多いようです。今「偉大なる王(ワン)」を読んでいますが、これも満州の密林にすむアムール虎の物語です。
【2009/07/13 10:46】 | さーにん #- | [edit]
さーにんさん こんばんわ

今日の朝日新聞で、筒井康孝がバイコフとロンドンについて書いていましたね。動物を擬人化しすぎというのは分からないでもありませんが、素人的には、面白いものは面白い! ですよね。
下のURLは、自分の「白い牙」ロンドンの記事です。
【2009/07/19 23:01】 | Iamfive #i5.A..iI | [edit]
Lamfiveさん,コメントありがとうございます!
筒井康隆さんのコラム、私も読みました。動物の擬人化については私も苦い気持ちになるものがありますが、私的にバイコフのはセーフです。
筒井康隆さんはコラムの中でバイコフを含め動物文学者の自然に対する描写力を褒めていらっしゃいますが、人から見た自然、人から見た動物、私にはバイコフはどちらも同じ視線で描写しているように思えるんですね。
当然どちらにも人としての主観は入る、けれど思い込みや酷い偏りがあるわけでなく、あくまで観察事実がベースにあっての主観な訳で、逆にそういった人としての主観がなくては物語として人を惹き付けるものにはなり得ない気もするのです。

ロンドンは「野生の呼び声」の方を図書館で借りて手元に置いてあります。
先に「白い牙」にすれば良かったかな・・・Lamfiveさんの書評,楽しみに読ませていただきますね(^∇^)ノ
【2009/07/20 13:51】 | さーにん #- | [edit]
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